買い物に行くため外に出てみると偶然見たことのある後姿を見つけた。 「こんにちは小豆さん」 ビクンと飛ぶのではないかと思うほど驚く小豆さん。 何とかならないのかなぁ、と思ってると彼女はすごい勢いで振り返― 意識が途切れる前に肉を殴打ような音と『やっちゃった』なんて声が聴こえた。 …… … 目を覚ますと頭の下にはやわらかい感触。 これはもしかして膝まく…じゃなくて木魚用座布団。無念。 というか何故俺は道路で寝てるんだ。 たしか小豆さんに声をかけた後急に意識を失って…まぁいいか。 頬がピリピリ痛いのを感じながら体を起こす。小豆さんが背を向けて立っていた。 「小豆さんすいません、なんか急に倒れちゃったみたいで」 「知ってるわよ私の前で倒れたんだから。それで大丈夫?」 む、そうだった。しかし何で背中で語ってるんだろう、漢です。 「えぇ大丈夫なようです。頬が痛いくらいで」 「…そ、そそそそそれは良かったわね、あなた口から霊魂出てたわよ」 妙にキョドる小豆さん。あとマジで霊媒師みたいなこと言ってます。 「…ありがとうございます。生死を行き来してたことまで助けてくれたんですか」 「ふん!礼はいらないわ!貸し一つということにして頂戴」 どこか怪しい挙動だが、寝た俺を相手してくれた様だし感謝感謝。 「ところでどこか出かけるんですか?」 座布団を渡しながら訊いてみた。 「そうよ。ちょっとカツオ節切らしちゃってるから」 買い物とは奇遇だ。 「そうだ、今から買い物に行くので一緒に行きませんか?貸しも返したいし」 うぉ!思ったことを言ってしまった。ナンパみたいじゃないか。 「え?」 言ったからには押すしかない。 「えーと、どうです?」 俺押し弱っ! 「…」 案の定断られるか?と思い小豆さんのほうを向くと 「いいわよ、返してもらうわ」 彼女は震える左腕を押さえながら背中で語ってくれた。 ここで気をよくした俺は 「じゃあ行こうか」 と言いつつ肩に手を乗せると小豆さんはすごい勢いで振り返り左腕を― 意識が途切れる前に肉を殴打したような音と「またやっちゃった」なんて声が聴こえた。 …… … 目を覚ますと頭の下にはやわらかい感触。 ※体験版はここまでです。続きは製品版でお楽しみ下さい。